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有限会社ナスカ一級建築士事務所
162-0052 東京都新宿区戸山3-15-1 日本駐車ビル4F
T 03-5272-4808 F 03-5272-4021

道の駅たのはた 思惟の風Roadside Station Tanohata Shiinokaze

 岩手県下閉伊郡田野畑村菅窪 151-6

設計 古谷誠章+NASCA
用途 道の駅
構造 W+RC
規模 地下1/地上2
敷地 9,220.92㎡
延床 1,143.59㎡
竣工 2021.3
受賞 2021.いわて木材利用優良施設コンク ール 岩手県知事賞・岩手県木材需要拡大協議会会長賞、2021.ウッドデザイン賞

田野畑村は東日本大震災により大きな津波被害を受けたが、三陸沿岸道路(復興道路)の整備に伴い、震災から10年目にして、道の駅がリニューアルオープンした。本計画は、田野畑村のおおらかな台地の地形と呼応するような建物を目指し、スパンごとに高さが異なる、変化のある曲線屋根の建物とした。  
断面形状は多雪地域の建物に特徴的な腰折れ屋根をしている。スパンや高さを変えて連続する不定形な架構であり、各方位ごとに表情の異なる屋根形状は内部では天井の高い開放的な商業施設を構成している。張間方向に9~16mスパンとなる架構は、2つの木トラスによる3ヒンジトラスアーチとし、角度を変えて並べた。  
屋内空間に現す木材は全て製材とし、特に人の目に触れやすい柱やトラス下弦材は、地元岩手県産のアカマツ製材とし、木を身近に感じる機会を増やすことで、木に対する愛着や親近感を抱ける施設としている。積雪による曲げの影響が大きいトラス上弦材は合わせ梁として大断面を確保し、軸力が主体となる斜材・下弦材は、座屈に対して有効となるように、平角材を見込方向の寸法が大きくなるように配置した。この操作により、部材の見付は小さくなり、奥行方向に抱ける見える架構が軽快な印象となった。  
外構には子供たちの遊び場として、建物北側に芝生の広場を計画した。道の駅に併設して、キャンピングカー宿泊用の駐車場を確保し、将来的にはバーベキュー場を計画することで、屋外活動を楽しめる施設を目指しており、これら周辺施設と一体的に整備・連携することで、田野畑村の魅力を改めて村の内外に発信するとともに、田野畑村民の積極的な活動を展開することを目指している。

https://shiinokaze.or.jp/

撮影 淺川 敏