検索

有限会社ナスカ一級建築士事務所
162-0052 東京都新宿区戸山3-15-1 日本駐車ビル4F
T 03-5272-4808 F 03-5272-4021

奈良の木を利用した移動式仮設体育館Mobile Temporary Gymnasium Using NARA TREES

奈良県奈良市

設計 古谷誠章+NASCA
用途 体育館
構造 W
規模 地上1
敷地 38,582.30㎡
延床 749.74㎡
竣工 2020.06

元々は奈良県と早稲田大学との連携事業である「奈良の木を利用した仮設施設検討事業」から端を発したもので、奈良高校の体育館が耐震性能の不足により使用できない上に令和3年度で校舎自体を移行することから、この検討事業を応用した仮設性のある体育館が求められた。
移設性とコスト、木材利用の観点から、奈良県産材の製材(120角・最長6m材)を使用したシザーストラス構造を欠込みせずにボルトオンで接合し、妻面には耐力要素が不要な設計としており、高度な技術を要しないオープンで高い汎用性とともに木に包まれた大きな空間を獲得している。(本工事では材木調達の関係から集成材を使用) 両妻面は、ポリカーボネート製樹脂板で構成し柔らかな光で内部を満たし、その中央には出入口とシャッター、換気扇を納めたユニットを据えている。桁行方向の足元にある縦滑り出し窓と妻面のシャッターをフルオープンにすることで自然換気を十分に行えるようにした。締め切った場合にも上部に溜まった熱を大風量の換気扇によって有効に換気できるようにしている。天井には吸音と断熱を兼ねたグラスウールボードを敷き込み、ステンレスメッシュをくしゃくしゃにして仕上げ、仮設体育館といえども心地の良い空間をつくっている。

撮影 淺川 敏