中河原保育園Nakagawara Nursery
群馬県高崎市新町1402-1
周辺環境に応じて開く/閉じる園舎
設計 | 古谷誠章+NASCA |
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用途 | 保育園 |
構造 | W |
規模 | 地上1 |
敷地 | 3,149.13m2 |
延床 | 709.06m2 |
竣工 | 2012.03 |
掲載 | 新建築2013.04 |
開園以来33年に渡って使われた旧園舎のほど近くに、新たな土地を取得して移転新築した私立保育園である。今回の計画では十分な園庭をとり、園児の受け渡しや、送迎のための駐車スペースにもゆとりを持たせた。近接する民家との干渉にも配慮して、敷地北側にほぼ一文字に園舎を計画したが、棟を少しずらすことで、内外の空間に変化を与え、かつ敷地の奥まった部分にも採光通風のための小庭を設けるプランとした。園児やスタッフにとっては日中の長い時間を過ごす生活の空間であり、また園長からの希望もあって、周囲の住宅地とも接点を持ち続けるために、会議室を兼ねたリビングルームという呼び名の多目的スペースを道側において、日頃から近所の人々が園を身近に感じ、園に立ち寄ることが出来る場所としている。保育室は、昼寝などが必要な年齢の低いものを入り口からみて奥から並べ、手前に来るほど年齢が高く活動的になるようにした。園庭の北西隅部に当たる場所に広めの外部デッキと、内側にそれに繋がる遊戯室をおいて、屋内外の多様な活動の場としている。園舎全体を緩やかに起伏するチューブ状の空間として、各室間が自然に連続するつながりを感じられるようにした。基本的な骨格構造は集成材架構とし、水平力に対抗する方杖材付きの主梁の勾配を徐々に変えて屋根面に緩やかな起伏をもたらした。隣家側の外壁ではコンクリート基礎を高くして、屋根材のガリバリウム鋼板を葺き下ろして隔壁を築き、庭側では1800mmピッチの柱間を多様な“間戸”として、鋼製ブレース、換気窓、木格子、出入り口の木製引違い戸、木製靴箱、縁台ベンチなどを各所に挿入している。軒天や外壁、家具類などには県産材のスギ・ヒノキを用いた。木の空間が柔らかく子どもたちを包み込み、その屋根下から園庭にかけて賑やかな歓声が流れ出している。
撮影 淺川 敏