静岡理工科大学建築学科棟 えんつりーShizuoka Institute of Science and Technology, Department of Architecture
静岡県袋井市豊沢2200-2
人とモノ・コトの接点となる「地域の縁側」をつくる
設計 | 古谷誠章+NASCA |
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用途 | 大学 |
構造 | S |
規模 | 地上4 |
敷地 | 196,999m2 |
延床 | 3,784.43m2 |
竣工 | 2017.3 |
受賞 | 2017.中部建築賞、2017.静岡県くらし・環境部環境配慮建築物優秀賞 |
掲載 | 新建築2018.12 |
建築学科棟“えんつりー” は、静岡理工科大学に新設された建築学科の校舎である。静岡県で初めての総合建築学科となることを活かし、大学の地域連携の拠点となり、地域に貢献する人材を育むために、建築学科校舎自体が「地域の縁側/ ENGAWA」=社会との接点となることを目指した建築である。人々の生活するところ、世界中どこへ行ってもその土地の風土に根ざした街や住宅がある。大学キャンパスもまた、学生や教職員の人々が1日の長い時間をそこで過ごす、言わば「みんなの住まい」、そしてそこに暮らす人々や地域にとっても大切な場所となる。学生たちが地域と連携して社会を学ぶためのキャンパス創りのきっかけとなることを目指した。既存建物の配置・構成やランドスケープを丁寧に読み取り、既存の軸線を活かす建物形状を生み出している。キャンパスモールの中心軸に沿って「大きな軒下空間」を設け、学生と教員、地域の住民が日常的に触れ合う新たな広場とし、人・モノ・コトが出会う場所を創出している。この建築学科棟は、ここで学ぶ学生・教員が常に「未知」と出会う『メディアの森』となり、様々な出会いから新たな思考が創出される場になることを目指し、建物内のいたるところに創造への端緒が鏤められている。また、建築の学び舎そのものが生きた教材となるよう、構造や設備のエレメントを意図的に露出すると共に、意匠的にも多様なデザインモチーフを取り入れ、統合させている。光環境についても「学べる灯り」をテーマとし、光源の種類や色温度、照明手法などを意図的に多様化し、それぞれの場所にあわせて空間を演出している。
撮影 淺川 敏