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有限会社ナスカ一級建築士事務所
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旧伊深村役場改修_美濃加茂市Renovation of the Old Ibuka Town Office, Minokami

岐阜県美濃加茂市伊深町895

設計 古谷誠章 + 早稲田大学古谷誠章研究室
用途 集会場・カフェ
構造 W
規模 地上1
敷地 517.52㎡
延床 135.15㎡
竣工 2018.3

旧伊深村役場庁舎は、岐阜県美濃加茂市伊深町の中心部に位置し、昭和11 年に伊深村(現伊深町)の村役場として建設されました。特徴的な外観と伊深の風景に溶け込んだ地域に根付いた施設であり、国の登録有形文化財に指定されています。しかし、町村合併後、役場機能が移転し、自治会館として活用していましたが、老朽化により利用されていませんでした。その後、市と住民との意見交換会により、古くから地域の中心的存在である旧伊深村役場庁舎を地域の記憶を継承しつつ、観光やまちづくりの中心として地域内外の人々が訪れる場所となることを目指すこととなりました。
そこで本改修では、ワークショップや復元調査を行い、地域の文化財として価値ある歴史的な要素を抽出し、かつての部屋割や機能の踏襲や、古い瓦はできる限り再利用することで伊深の風景となっている特徴的な外観を復元することで「地域の記憶の継承」を行いつつも、耐震補強や新たな機能の付加といった「現代的更新」を行い、施設一帯の地域の交流拠点となるカフェとして更新しました。
また、村長室と執務室の間には、運営者がキッチンから飲食スペースの村長室まで見通せるよう両側を棚にした「透ける壁」を計画することでカフェの運用にも配慮しました。ワークショップでは、かつて親子文庫が行われていたこと、古写真からかつて門柱が配させていたことがわかり、小学生の読書・宿題スペースや街灯が少ない伊深の暗い夜を照らす門灯を新たに加えました。
古くから地域を見守る役場の姿を残しながらも伊深の新たな公共施設として、住民同士の交流や観光、まちづくりの中心となり、地域内外の起点となっていくことを願ってます。

撮影 根本 友樹