実践学園中学・高等学校 自由学習館Freedom Learning Manor House, Jissen Gakuen Junior & Senior High School
東京都中野区中央2-38-5
設計 | 古谷誠章+NASCA |
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用途 | 中学・高等学校 |
構造 | RC+ S |
規模 | 地下1/地上3 |
敷地 | 924.54m2 |
延床 | 1,389.38m2 |
竣工 | 2011.03 |
受賞 | 2014.日本建築家協会日本建築大賞、2014.日本建築学会作品選奨、 |
掲載 | 新建築2011.05 |
実践学園は男女共学の中高一貫校で、地下鉄中野坂上駅から徒歩5分の住宅街の中に立地している。土地が限られているため、中庭型の校舎に全校生徒1200名の学校機能がコンパクトに収められていた。ほとんど教室と廊下、その他必要なもので敷地内は一杯になってしまう。そこにいわゆる余白やゆとりを生み出すのには限界があった。新しく計画されたこの自由学習館は、教室という学校の主要な「図」となる場所に対し、空間的にも時間的にも「地」となる余白や隙間だけを集めてつくりだした場所だといえる。ここに期待された機能は、生徒の自学自習の場であると同時に、コーラス部などの余暇活動のホール、ここには近隣の住民をも迎え入れることもできるなど、活動の内容自体も授業というオンの状態に対し、言うなればオフの行動である。隣地への日照や視線に配慮し、周囲に呼応するようにかたどった外殻の中に、まず半地下にホールの内殻を置くことで、その間に隙間が生じる。その中に様々な余暇活動のための空間を最上階まで織り重ねていく。そんな感じでこの一見複雑な内部空間が生まれている。随所に設けられたこれも隙間のような開口部からは、時に空が、時に木々の梢などが眺められる。覆われた箱の中にいるようで、周辺の外部にも包まれているような空間。その感覚がホール内殻の内部にまでもつながるように意図した。もとより自学自習とは、教室での授業とは違ってきわめて能動的な行為である。生徒たちがこの中の思い思いの場所に陣取り、それぞれの時間を過ごし、かつ互いの交流が自然に生まれるような場所を目論んでいる。
撮影 淺川 敏