あさひ会計セミナー棟ASAHI Accountant's Office Seminar Branch Building
山形県山形市
設計 | 古谷誠章+NASCA |
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用途 | 事務所 |
構造 | S+W |
規模 | 地上2 |
敷地 | 916.34㎡ |
延床 | 491.87㎡ |
竣工 | 2019.06 |
受賞 | 2021.ウッドデザイン賞、第42回日本建築学会東北建築賞 作品賞 |
会計事務所の別棟新築計画。1階にオフィスやラウンジ、2階に無柱空間のセミナールームを設け、顧客向けの講演会や社内研修に利用することを想定した。木のぬくもりに包まれるような空間が、スタッフにとってもクライアントにとっても、日々の心を和らげ、業務の生産性や創造性を向上に寄与する。特に、南面の駅前大通りに面したファサードに国産材をふんだんに用いた点が特徴的である。このルーバーは、日射や視線をコントロールしており、室内の温熱環境と相談に訪れる方のプライバシーに配慮をている。無垢材を用い、木の持つ本物の香り・手触りを活かして親しみやすい空間とた。
また木質のファサードは、行き交う人々に潤いを与え、豊かな街並み形成に寄与する。夕暮れとともに刻々と表情を変え、隙間からぼんやりと漏れ出す灯りは街を照らす行灯となっている。
本計画のもうひとつのテーマとして、木と鉄骨の融合が挙げられる。木質材料のもつ加工の容易性を活かし、斜めの鉄骨柱を木のルーバーで挟み込む表現とした。鉄骨造の硬質な印象を和らげている。木ルーバー自体もガラス方立の風圧力支持・鉄骨柱の座屈止めを担っており、構造的には鉄と木の小断面が入り混って風圧を分散支持している。また、通常であればカーテンウォールとなるため、開口部のコストダウンにも寄与している。
屋根架構は、天井仕上げと屋根架構を兼ねてストレストスキンパネル(SSP)と呼ばれる、LVLを組み立てた工場製作のパネル部材を採用した。内装仕上げとなるため、工事の簡便化とコストダウンを図った。街並みに馴染む家型の形態をそのまま写しとるような内部空間とし、一般的な吊り天井を用いないことで安全面にも配慮している。流れるように連続するウェブ材のジョイント部などディテールにも配慮した。1階と2階の空間がひとつながりになるようルーバーとSSPを連続することで、建築全体を木で包みこむ空間とした。
撮影 淺川 敏