東京建築士会会長ご挨拶 古谷誠章Tokyo Society of Architects & Building Engineers Greetings from the chairman
『改革の成果を継承し、建築士の職能を社会に開く』
このたび、 近角真一会長の後任として東京建築士会の会長を拝命することになりました。
今後は微力を尽くして、 建築士の一人ひとりが生き生きと活躍できる社会環境を築き、 会員の皆様とともに本会が広く社会の信頼に応えられるものとなるよう、 会長の職務に励んで参りたいと思います。
建築士は実践に裏付けられた確固たる技術力と豊かな人間性に裏付けられた想像力によって、 人々の暮らす生活環境に対し常によりよいものとするよう心がけねばなりません。
人ひとりとして努力することはもちろんとしても、 会員が集う組織として成さねばならないこと、 また組織だからこそできるものもあると考えます。
前会長が掲げた私たちの職能に対する 「設計」 の前にある危機と、「工事監理」 の後にある危機に対処していくのも、 会員が連帯して建築士会として取り組むべき、 非常に大切な命題です。
また委員会活動を通じて会員個々の資質の向上を図り、 一方で国や地方自治体との連携 ・ 協働を図るという委員会活動の両輪についても、 これを一層前向きに推進していきたいと考えています。
こうしたこれまでの諸活動を十全に継承していくために、 このたびの新体制には副会長全員の留任、 さらに前会長には新たに顧問への就任をお願いしました。
また私自身が日本建築学会会長時代に五会会長会議で培った関連団体とのネットワークを生かして、 社会において建築に携わる者の職能の理解を一層深められるよう努力していきたいと思います。
特に日本建築家協会、 日本建築士事務所協会連合会との設計三会間では、 公共建築の設計者選定のよりよい方式に関して、 更なる緊密な連携によってその普及を働きかけると共に、 今後も日本建築学会、 日本学術会議の歩調とも軌を一にしてまいりたいと考えています。
あわせて国や自治体などに対する発注者支援の体制についても、 同様に取り組んでいきたいと思います。
一方で、 建築の竣工後に待ち受ける維持管理や、 保存再生、 あるいはリニューアル、 コンバージョンなど、 いま喫緊と思われる課題については、 これまでに成し得ていなかった点を真摯に検証し、 建築士が取り組むべきこれらを巡る自己の研鑽や、 社会への貢献のあり方について、 深く掘り下げた議論をしていきたいと思います。
当然ながらその中には、 現在私たちの直面する新型コロナ禍以降の建築や都市像にまつわる課題や、 国連の SDGs が目指す国境を越えた地球の自然環境、 社会環境の未来像に照準を当てた議論も含まれると考えます。
会員の一人ひとりが存分にその力を発揮することができ、 同時に社会に対して会員が手を携えて人々のよりよい生活環境を築くための貢献ができるよう、 会員諸兄姉の本会に対する力強い協力と心からの熱意を切に希望いたします。 どうぞよろしくお願いします。
令和3年6月
東京建築士会 会長 古谷 誠章